これは、私と娘の関りに関して、自分自身がどれだけ成長したのかを感じた時のお話です。
- 娘のバレエ歴:5年
- 年齢:9歳
- 発表会は年に1度
- 会場は500人くらいの大ホール
子供が何故か習い事を嫌だと言い出した人、子育ての中で関りがうまくいかないと感じている人に読んでいただきたいです。
バレエと娘について
娘がバレエの習い事を始めたのは、4歳の頃でした。
これは完全に私が勧めて始めたのですが、バレエを通して、素敵な感性を身に着けてもらいたいという気持ちで、習い事を始めることにしました。
もちろん、最初はうまくできなくて、やりたくないと言った事もありますが、年に一度の発表会の大舞台に堂々と参加するくらいまで成長しました。
今年の発表会まで、一切出たくないと言った事はなく、そんな心配をしたこともありませんでした。
ポイント
バレエ歴は5年ほどあり、今まで発表会には喜んで参加しており、仲間たちともとても楽しく練習をしていました。
年に1度の発表会に出ないと言い出した娘
それは、年に1度の発表会の日でした。
この日に向けて週に3回のレッスンを半年前から続けていました。
多いは、朝の10時~夜の19時まで1日がかりで行う日もありました。
来る日も来る日も練習を行い、当然、発表会に向けての練習なので、力いっぱい行っていました。
本番当日
本番前のゲネプロ(リハーサル)の時、
あれだけ練習してきた娘ですが、泣きながら控室の片隅に寝ていました。
「本番は出ることができない」
そう、言いながら泣いていたの今でも覚えています。
娘の気持ちを折った出来事
本番を迎えた数日前
娘はなんやら咳をし始めました。
そうです、本番直前に風邪をひいてしまったのです。
そして、本番前夜
娘は吐き戻してしまいました。
体調の悪さが如実に出てしまいました。
部屋の片隅で泣いていたのをよく覚えています。
「だいじょうぶ、パパがいるよ」
何度もそう言って、抱き締めてあげました。
普段吐くことなんてめったにしないので、相当不安だったのだと思います。片付けもしながら、泣いている娘の様子をかばいながら、私の内心はパニックになっていましたが、ここで不安を感じさせてはいけないと奮闘しました。
当日の朝
元気いっぱいだったのです。
出発するまでは。。。
パパさんは、ゲネプロへの参加や楽屋補助はできない(母の会がある)ので、ゲネプロ時のビデオ係くらいの仕事しかありません。
ところが、会場準備の間の待機時間の私に連絡があります。
「娘が体調悪い言っている」
「吐き気止め、咳止めの薬を持ってきて」
元気そうに見えた娘は、本番発表会を前にして、体調が悪い状態が続いてしまったのです。
娘を前にした私の行動は?
会場へ向かう途中、薬局へ行き、子供用の目当ての薬を手にして、直行しました。
休憩室へ着くと
娘が泣いて寝ている⁉
「だいじょうぶ、薬持ってきたよ」
そう問いかけました。
娘は「無理、もう出ることが出来ない」
そう言いながら、ただ、ただ、泣いていました。
自分の体調不良に
発表会を目前にした彼女の心は完全に折れていました。
「だいじょうぶ、パパが来たよ」
そう言った私は、本当にこの子にどういった言葉をかけたらいいのか、どういった態度で接したらよいのか、どうすれば正解なのか、なにもかもわからない状態でした。
ただ言えるのは、「なんとしても発表会に参加させなきゃ」という気持ちでした。
バレエの発表会に出ることができないのは体調不良?
娘の気持ちは折れています。それも、完全に。
発表会の本番まで4時間しか残っていません。
意を決して、控室から娘を連れだし、駐車場に停めている私の車に連れて行きました。
なぜなら、
彼女の本心を聞くには、他の人のいるところでは無理だと判断したからです。
実は私は
「熱は、微熱だし、気持ち悪いは薬で何とかなる」
出演できないことはないな。
本当は、「不安」だからなんだろうなと予想していました。
何百人の前で、一人でバレエを踊ることなんて、大人でもできない。小さな頃はその怖いって感情もあまりわからないまま出演していたからだと考えます。大きくなって、そのプレッシャーを大きく感じているのではないかと考えたからです。
私の気持ちは「どうやったら出演してくれるか」その一点だけを考えていました。
本番に参加させるのが私の本当の目的?
本番に出演させることが本当の目的なのでしょうか?
娘を見ているとふとそんな疑問が浮き出てきました。
娘にとって、
- 発表会に出るという事
- 諦めて出ることができなかったという事
どちらが、本人の未来にとってどっちが良いかというのは、明白じゃないかと思います。
だけど、これは
私の観念。
娘にとっては、無理に出演する事で失敗したという事に繋がるかもしれないし、私自身がこれが良いのではないかと思った事でも、それが正解だという事は決してないのです。
娘自身が
- 自分の考えで
- 答えを出して
- 自分で決めて
- 行動する
この事に意味があるのだと思います。
どんな結果になったとしても、それをフォローして、最後まで見放さずに、支え続けることが一番大切なのではないでしょうか。
支える決心をすること
おそらくは、体調を理由に、自分の不安を乗り越える決心ができない状態にあったのだと思います。
ここで私は、決めました。
心に決めたこと
- 最後まで本人の意思や気持ちを優先する事
- 決めたことを後悔しない事
- どっちに転んでも援助していく事
発表会本番までの4時間。
本人の気持ちを引き出してあげる事に集中する事にしました。
本人の気持ちを引き出すために行った行動
心が折れた状態の娘。
話を始めるまで相当時間がかかりました。
普段は、なんでも思ったことを話してくれる関係性はできていると思いますが、この時ばかりは自分の話をできず、「無理だ」「できない」この一点張りの状態です。
まず安心させることが重要
まずは安心をすることが重要と考えました。
娘が言っている「体調が悪い」という事へ対する安心を提供です。
薬の成分、薬局へ行ってちゃんと話を聞いたこと、どんな症状に効くのか、子供向けだからちゃんとしていると言った事をしっかりと説明しました。これによって、薬が効くと体調が良くなるという事が本人も理解できたと思います。
それに加えて「パパがいる事」
そばにいてあげる事が一番の安心感につながります。
ただひたすら本人が気持ちを声にするまで待つ
ここから忍耐力が必要です。
私がその時、行っていたのは、娘に安心をしてもらう事。
そして、自分の気持ちを話しだすまで耐えることです。
「寝ていていいよ。」
頭や気分が悪いと言っていたお腹をさすりながら、落ち着くまでそっとそばに寄り添いました。色々な会話を交えながら、バレエとは関係ない違う話などをいっぱい行いました。
そして、しばらく睡眠を取ったのち、
「元気になってきた」
娘からそんな言葉が出てきました。
薬が効いてきたので、風邪の諸症状は少しましになっていたのだと思います。
「ソロの舞台だけなら出ることができるかも」
一人で舞台に立つ、ソロへの出演だけはやりたい、できると思うという内容で話をし始めました。
「でも、みんなでやるのは無理」
最初から最後まで出演は難しいけど、1つだけなら出来そう。だから一番頑張ったソロの公演だけやりたいという言葉でした。
本人の気持ちを引き出す事
ソロは出ることができるのに、
みんなで行う演技はできない。
何故だろう。。。
何を思ってこう言った言動になったのだろう。。。
本当に考えました。
色々考えて、最終的に、本人の言葉を必ず引き出してあげる、そうしないと出演しても本当によかったって気持ちになることができないと思って、どう感じているかというお話をしました。
慎重に。
自分の気持ちや思いで相手を動かさないように心がけながら
私「ソロは出ることができるんだね。なぜソロだけなの?」
娘「体調が少し戻ったから、1つだけなら頑張れる」
私「体調は戻っていない?少し元気になった?もう少し待てば元気になる?」
娘「薬が効いてきたよ、元気になるかもしれない」
こんな形で、気持ちを引き出していくことをやっていきました。
その中で、大切だなと思ったのが、
オウム返し
娘が話したことに対して、こう思ったんだねとそのまま自分の言葉にして返答をすることです。
オウム返しを使ったやりとり
娘「一つだけならできる」
私「元気になってきたから、一つはできるんだね」
私「もう少し元気になったら、他のも出れそうだね」
娘「うん。でも、上手にできないのが嫌なの」
私「上手にできないのが嫌なの?それはどうして?」
娘「だって、体調が悪いから、みんなと踊るのに下手なのはイヤ」
私「みんなと一緒にでるときに、うまくできなかったらそれは嫌だね」
私「バレエの発表会をいい作品にしたい?」
娘「したい」
私「バレエの発表会、みんなでいい作品にしたいんだね」
娘「せっかく練習したんだもん、いい作品にしたい」
私「そうだね、いっぱい練習したもんね。みんなでいい作品にしたいんだね」
娘「うん。みんなと一緒にいい作品にしたい。だけど、私が体調が悪いから100%の力が発揮できない」
私「100%の力が発揮できないから、みんなに悪いと思うの?」
娘「だって、絶対に上手にできないもん」
私「確かに、体調が良くないから今は上手にできないかもしれないね。50%くらいならどうかな?」
娘「50%なら出来るかも」
私「50%はいけるんだね」
娘「うん」
私「娘ちゃんが出演して、50%の演技だと、台無しになるの?」
娘「だって、上手にできないもん」
私「ソロの演技だとそうかもしれないけど、みんなでやる演技だと、一人がでなかったら、お客さんはどう思うかな?なんか、間が空いているって思わない?」
娘「たしかにそうかもしれない」
私「穴が開いているってお客さんが思ってしまったら、その時点で50%の作品だよ」
娘「うん」
私「娘ちゃんが50%の力で一緒に演技できたら、80%なんだよ。だって、みんなフォローしてくれるじゃない」
娘「そうかもしれない。でも、上手にできなくてもいいの?」
私「いいよ。みんなと一緒にいい作品にしたいんだよね?」
娘「うん」
私「じゃあ、娘ちゃんがいない作品と、いる作品、どっちがいいと思う?」
娘「いる方」
私「そうだね、いる方がいいね。体調が悪いのもわかっているし、うまくできないかもしれないのもよくわかっている。だから、うまく踊れなくても仕方ないと思う。パパは、そんな娘ちゃんがそれでもみんなと一緒に出演できるというなら最後まで応援する。」
私「自分が思う、今、本当にできないならそれは仕方ないと思う。でも、少しでも出たいって気持ちがあるなら、その気持ちを優先してみたらどうかな?」
私「もう少し寝ておいて。少しでも元気にならないと」
娘「うん。」
バレエの発表会に出演する事ができたのか
4時間程度、車でお話したり、睡眠を取って、時間を使いました。
先生には、すでに連絡を入れており、緊急の場合に備えてもらいました。
出演時間の30分前
寝ていた娘を起こし
楽屋へと送り出しました。
パパは、客席から応援しているからと。
やれるだけのことはやった、十分関わった。
これ以上は、本人の選択の問題。
どっちに転んでも、応援する。
そういう気持ちで、最初のオープニングの時間を迎えました。
オープニングに全員で出演する、その時に出てくるかどうかが一番の壁でした。
これを乗り越えたら安心。
どうか、
どうか、娘の壁を乗り越えさせてください。
神様に祈るような気持ちで、幕が上がるのを待ちました。
オープニングのナレーションが始まり
ブザーが鳴ると同時に幕があがり
綺麗な衣装に身を包まれた子供たちが舞台に登場し始めます。
私はリハーサル見学をしていないため、どのタイミングで登場するかわかりません。
祈る気持ちで見ていると
お姉さんクラスの人たちと一緒に出てきたではありませんか!
その瞬間
安堵と、感謝、そして、よくやったという称賛の気持ちでいっぱいになり、
自然と涙があふれてきました。
今まで、発表会を見てきましたが、わが子の成長に感動さえすれど、涙があふれたのは今回が初めてでした。
本当に、よくやった。
私が娘の状況に対応できた理由
今回の件は
- 困難を乗り越えた経験
- 諦めてしまった経験
この二つの間で、娘の今後の人生の岐路に立つ事柄だったと思います。
諦めずに頑張って乗り越えた自分の経験は、娘にとって大きな財産となったと感じております。
これが、負けてしまっていたら、自分の弱い心に諦めてしまった自分というマイナスの心をずっと背負ったまま過ごしていた可能性があります。乗り越えたことで、今後、大きな壁を前にしても乗り越えたらよい結果を得られることを体験でき、自分で乗り越える力を持って生きていけるのだと感じます。
この対応ができた私自身は、本当によかったと思います。
この事柄が起こる前に色々な学びを得ていたのです。
以前までの私なら、娘が泣いて寝ているときに
「なんでできないの?」
「あんなに練習したのに」
「出演した方が、いいよ」
「大丈夫、絶対にできるよ」
こんな言葉を投げかけていただろうと思います。
学んだ私は、実際に行動したのは
娘に寄り添い、不安を取り除き、本人の気持ちを確かめただけ
支える、援助の行動だったのです。
私自身、こういった行動ができるようになった理由があります。
それは、自己成長の研修を受けた事と、ある本との出会いからです。
研修の内容は公言できない事になっておりますので、差し控えたいと思いますが、本に関しては紹介をしたいと思います。
共に、私が愛読している、アドラー心理学の著書です。
有名になったので、ご存知の方も多いと思います。ぜひ一回読んでいただきたい本です。
まとめ
直近に受けた研修で、自分自身への気づきを得ることができ、娘との関わり方について学んだことが実際に活かされた事案だと思います。これがなければ、私は娘の人生の岐路にうまく援助できなかったのだろうと思います。
人生の岐路に大きく影響を受けた研修と本に、感謝をしたいと思います。
私の経験は、個人的な内容であったため、記事にするのを控えようと考えておりました。しかし、同じような経験をした方や、悩んでいる方にぜひ参考にしてもらいたいと思い、今回の記事を作らせていただきました。
多くの方の参考になればと思います。
バレエや習い事のことや問題点に関して、質問がありましたら、ぜひご連絡ください。